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目のトレーニング:オンラインで作品を見る方法

オンラインアート

アートマーケットは、近年オンラインスペースへと移行してきています。 インターネット上でアート作品を見ていくと、画面上に表示される膨大な選択肢に圧倒されてしまうかもしれません。 アートの見方に正解はありませんが、「目をトレーニングする」ために、デジタル領域でのアート作品鑑賞のポイントをご紹介します。

アート作品との関係でしばしば生じる疑問は「アート作品には客観的に魅力的なものとそうでないものがあるのか」という点です。 美的感覚を鍛えるために、芸術作品のどのような点に注目したらよいのでしょうか。 オンライン上でアート作品を見るときに、どのような点を見ていけばよいのでしょうか。

この記事で紹介するポイントを押さえれば、作品に対して抱く主観的な反応を解体し、体験をより深く理解することができるようになります。 最終的には、色、スタイル、構図に影響された、作品に対する私たちの感情的な反応が、私たちを芸術作品に夢中にさせるのです

この記事では、直接的にアート作品の見方を紹介するのではなく、オンラインでアートを鑑賞する際に利用できる、一連の質問と注意事項をご紹介します。

閲覧を始めるにあたって

アートに関しては、「デジタル」と「アナログ」の世界は、それほど明確に区別されるものではありません。 しかし、意識していただきたいのは、インターネット上で作品を見るのと実際に対面でアート作品を鑑賞する際に明らかに異なるのは、その「スケール感」です。 オンラインで見るアート作品は、空間やスケールの感覚がないと、非文脈的になってしまうことがあります。 これは特に抽象的なアートはに当てはまります。

Le rondini curvano(2015)、by Marcello Scarselli
以下の作品を見るには、ルームビューを活用することをお勧めします。

アートワークを理解するためには、作品のサイズを把握することが不可欠です。 そのため、SINGULARTのウェブサイトで提供されているルームビューを利用して視覚化し、作品が空間の中でどのように見えるかをイメージすることが重要です。

抽象芸術

では、次の2つの抽象絵画作品を一緒に見てみましょう。

EDEN、(2017)Hélène Jacqz

アート作品を見る時、私たちは幾つかの一般的な疑問をが浮かぶかと思います。表層的なレベルでは、私たちは目の前に何を見ているのでしょうか? あるいは、最初に作品を見たときに、どんな言葉が思い浮かんできますか? 次に、スタイルを特定する段階に進みましょう。

この2つの抽象絵画を見て、色について考えてみましょう。 アーティストの選んだ色はあなたの好みでしょうか? 色彩の幅は補完的でしょうか?

作品を彩っているカラーパレットが目に心地よい場合、それはある種の感情を生み、私たちの心に共鳴します。 美的感覚 特に、色が決め手となる抽象芸術では、その傾向が顕著です。

今度は、ブラシストロークに注目してみましょう。 どのような種類の線が描かれていますか? 線は互いに融合しているのか、それとも分離したままでしょうか? 客観的な特徴について把握したら、それが主観的な意見にどう影響するかを分析してみましょう。

スタイル、構図、色の使い方、テクニックは、私たちがアート作品を見る際の重要な要素です。 美術の専門家に限らず、私たちは無意識のうちにこれらの要素を感じ取り、私たちがその作品を魅力的と感じるかどうかに影響を与えているからです。

フィギュラティヴ・ペインティング

次の2つの具象アート作品を見てください。

前回の例と同じ事項に注意して、作品を見ていきましょう。 目の前にあるものは何ですか? 最初に作品を見た時、どんな言葉が思い浮かびましたか? スタイルを特定できますか?

上の具象画の例を見て、二人の作家の色と線の使い方を考えてみてください。 使われている技術的手法を楽しめますか? 構図ついても見ていきましょう。この構図は、私たちの目をある特徴に向けさせる、あるいは絵の中の新しい要素を読み解く旅に、私たちを誘うだけの力があるでしょうか。

選ばれた2つの作品はどちらも歪んでいて、漫画のように作られていますが、それでも私たちはそれらを認識することができるのです。 人体の認識できる特徴は、簡略化され、様式化されるように操作されています。 このように、絵画は通常目にするものとは異なる見方や鑑賞体験を私たちに与えてくれるのです。

フィギュラティヴ・アート作品はこちらからご覧いただけます。

肖像画と顔

人間の顔を描くのは難しいものです。 成功するかどうかは別として、それらは観察者とコミュニケーションするために生み出されたものなのです。 アーティストが見る人を魅了することに成功しなければ、魅力が半減してしまったも同意です。

次の2作品を見ていきましょう。

もう一度、顔の描かれた絵画を見ていく時に、今までお話してきた注意点を当てはめてみましょう:画像のどの要素が好奇心を掻き立てるのでしょうか? 苛立ちや共感など、感情的な反応でしょうか? それとも、新しい体験を生み出す作品のスタイルが、私たちを魅了するのでしょうか。

上記の肖像画の例では、絵画技法が感情を決定的にすることが読み取れます。 どんな感情が生まれますか? どのような要素がその感情を生み出しているのでしょうか?

つまり、私たちのは無意識のうちに、顔を認識しているのです。 しかし、抽象化された顔は、普段慣れているものの見方を覆し、それ故に私たちに苛立ちを感じさせることもあります。

風景画

La sera del richiamo (2020) Cesare Reggiani
Lake at Silver Spruce Ranch, Colorado(2016)K.l.Mckenna

ここでご紹介するのは、2枚の風景画です。 これまでお話してきたように、スタイル、構成、色の選択、アプリケーション、称されている技法を考慮し識別できたこれらの要素が目に訴えることができるようにすることができます。

全く異なる作品でありながら、両作品とも洗練された絵画技法で描かれており、私たちを新しい場所に引き込む力があります。 絵画を見ると、ある場所を思い出すのでしょうか? それとも、その場所がある種の気分を呼び起こすのでしょうか。

前者の絵は、シャープで鮮明な線と爽やかな色彩が、私に落ち着きと静寂をもたらします。 一方、後者は明るく遊び心のある配色で、私の気分を幸福感で満たしてくれます。

場所や人物は感情を呼び起こし、それがまたアーティストによって私たちの潜在意識に描かれるのです。

まとめ

要するに、私達は目を訓練することで、作品のある特徴に気づき、その作品とつながることができます。 これまで用いてきた質問と注意点を使用して、私たちは作品に接したときに最初に浮かぶ考えや感情を解体することができます。 この過程で、スタイル、色、構図、感情などの特徴を識別することができます。

  • スタイルがユニークであったり、珍しいものであったりすると、私たちは新しい見え方を体験し、魅了されます。
  • 色彩は感情を生み出し、私たちの個人的な美的感覚に感応します。
  • 構図は、私たちの目を誘導し、要素やメッセージを読み解く旅へと導いてくれます。
  • 最後に 、作品がどのような感情を掻き立ててくるのかを自答してみましょう。

これらは当然、上記の要素によって生み出されるものですが、芸術作品に惚れ込む人にとって決定的な要素となるのは、やはり主観的な感情です。