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コレクターインタビュー: 久野 九平治

萬乗醸造の15代目、且つ、醸造家として、愛知県名古屋市で酒造りを営む、久野九平治氏にお話を伺いました。 久野氏は、モネの印象派絵画「睡蓮[Water Lilies]」をきっかけに、芸術への情熱に目覚め、今ではアートを人生の一部として捉え、 そのアートに対する情熱を新しい醸造所で表現しています。究極の芸術愛好家との対談です。

アートに興味を抱かれたきっかけとは。

フランスに若い頃から何故か惹かれ、初めて旅をしたのが18歳の時でした。その時に偶然立ち寄った美術館がオランジュリーです。衝撃でした、あのモネの睡蓮の部屋。あの部屋にいると、当時の池にトリップできる感覚に陥った事を、今でも覚えています。思い返すとそれが、始まりかもしれません。

ご購入頂いた作品たちについて少しお聞かせください。ご購入に至った背景、ストーリーなどございますでしょうか。

新しい醸造所を建てた際に、その醸造所をアートで飾りたいと思い、購入に至りました。 私も造り手・職人としてアルチザンなアートに囲まれる空間で、仕事がしたいと思ったのがきっかけとなります。

醸造所にアートを置く”意味”とは。

醸造所にアートを置く、つまり、生活の中にアートが目に飛び込んで来る日常は、私にとって、疲れたり悩んだした時に、その作者の気持ちの中に自身を投影する事で、新たな光の啓示を与えてくれる存在なのです。

久野氏の醸造所
作品: Etreinte, Laurence Forbin – Dorothée coloris 1, Christine Bazantay – Maguy Coloris 3, Christine Bazantay.
撮影:後藤 晃人

SINGULARTとはどの様にして出会いましたか。

今までは絵画・アートの購入場所と言うと「画廊」のイメージで、そこには、限られた作品数しかなく、また日本の場合ですと大きな作品をほとんど購入する事が出来ない状態でした。SINGULARTと出会った時、まずその不自由さを見事に解消して頂ける販売表現手法に驚かされました。世界各国のアーティスト・様々な表現世界のジャンル・多種な言語対応・ウェブ上でもアートの細部を吟味できる仕組み・値段の交渉が出来る仕組み・配送のスピード感と料金込みのスタイル。全てがユーザー視点のサイトの仕組みに、驚かされました。最初は、不安な部分もありましたが、SINGULART上で作品を探すのに、慣れたら、こんなに作品の種類の幅と点数が多い画廊は世の中には存在していないと思います。もうリアルな画廊は必要ないのでは?と感じています。

もうリアルな画廊は必要ないのでは?と感じています。”

久野九平治

初めて見惚れたアート作品について、ストーリーなどございますでしょうか。

きっかけは、オランジュリー美術館で鑑賞したモネの作品です。偶然的な出会いでしたが、そこからアート作品を能動的に眺め、知る様になります。他に見惚れる作品は、ピカソになるでしょうか。

久野氏の醸造所
作品: Untitled, Nassim Nasr – Dancing cheek to cheek, Ta Byrne.
撮影:後藤 晃人

社会におけるアートの存在意義とは。

人間の存在その物がアートだと捉えています。そして個々の存在も、同じ人は、一人もいなく、各々のフィルターを通した自分を補う存在がアートだと考えており、アートの存在は大きく、社会の時代背景も補完してくれる物と考えています。憧れの逆、持ち合わせていない物の逆、喜びの逆、悲しみの逆、怒りの逆、戦争の逆、平和の逆、被災の逆、穏やかな存在の逆、過去と未来。などなど、私の場合、欠落している物を埋めてくれる存在がアートで。同様に、社会で欠落している物を埋めることがアートの存在意義だと考えています。

“欠落している物を埋めてくれる存在がアートで。”

久野九平治

これからもアートコレクションを増やしていこうとお考えでしょうか。

はい、アートコレクションは、気持ちと空間を埋めてもらいたい存在なので、これからも増やしていくつもりです。